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バングラデシュの冬景色

 年が明けた。しかし、ダッカに居るとその実感は湧き辛い。大晦日には一応花火が上がり、繁華街の一部ではカウント・ダウンを祝う若者たちが集うものの、明けた元旦は祝日ではない。政府も銀行も通常営業で、いまいましい交通渋滞もいつも通り。年明け早々にホッタール(暴力行為を伴う政治デモ)も実施され、早速自宅待機令が出される。東京からわざわざ訪ねて来てくれていた友人も、短い滞在期間の貴重な一日を棒に振ることになった。Facebookにアップされる興味深い動画も、「ムハンマド冒涜映画事件」以来、この国ではYoutubeにアクセスできなくなっているため、休暇中の楽しみとして活用不能。

 相変わらず何もかもが遅々として進まないバングラデシュという国、モチベーションを保つのが困難なバングラデシュという国で迎える2013年。しかし、焦燥感と不安感がない交ぜになっていた去年の年明けと比べて、僕の心は幾分スッキリとしている。ひょっとしたらこの国で過ごした時間が、僕の内面に何らかの変化をもたらしたのではないだろうか。例えば、今まで幾分足りていなかった「待つ力」、「受け入れる力」をバングラデシュが育ててくれたのかもしれない。あるいは、単に、以前よりも大分怠け者になっただけなのかもしれない。真相は時間が明らかにしてくれるだろう。今確かなのは、バングラデシュの美しい冬の風景が、僕の心をポジティブに保つ力を与えてくれているということだ。

 そう、バングラデシュにも冬がある。11月の中旬を過ぎると、それまで生暖かく湿気を含んでいた空気がパリッと引き締まってきて、雑貨屋の軒先には冬物の衣類や厚手の毛布が積まれるようになる。早朝に濃い霧が立ち込める12月上旬から、気温はぐんぐんと下がっていく。本格的な冬の到来だ。

   Winter Scenary7
 ~思わず息を呑む、バングラデシュの美しい冬の朝。これだからこの国ではカメラが手放せない~

 時には気温が10度を下回り、朝夕は吐息が白くなる。濃霧で化粧をした淡いオレンジ色の朝日の下で行き交う人々はモコモコのセーターを身にまとい、耳バンドを装着し、マフラーで首をグルグルに覆い、そして毛糸の帽子を耳の下まで深くかぶって首から上の暖を保つ。まるでスキー場に居るような格好だ。ベンガル人は寒さに弱いのだ。でも、何故か足元は裸足にサンダル履き。この人たち、本当に可笑し可愛らしい。
 
   Winter Scenary3
 ~村の学校に向かう小学生。マフラーでグルグルに包まれた子供の姿から、両親の愛情が感じられる~

 寒いのは人々だけではない。きっと牛やヤギだって震えているんだ。そんな気遣いからだろうか、村々の家畜小屋では、ぼろ布をかけてもらっている牛たちを目にする。何だか微笑ましい。

 Winter Scenary2

 ところで、バングラデシュでは冬の間まったく雨が降らない。正確に言うと、雨季が終わる9月末頃から春の嵐がやって来る4月上旬までの長い期間、ベンガル人は雨とご無沙汰することになる。大河は小川に変わり、中州と川岸がつながって陸地になり、池は干上がって茶褐色のくぼ地が姿を現す。そして例えば、こんな絵のような風景と出会うことができるのだ。
  
  Winter Scenary 1
  
 そして、バングラデシュの農村地帯の冬の風物詩といえば、何と言っても地面を覆いつくす一面の黄色い絨毯だろう。菜の花畑を子ヤギや子供達がかけていく様子は、まるで童話のワンシーンのようだ。菜種油やマスタードの原料を生み出す菜の花の香りは、バングラデシュの冬の短さを思わせる。寒い冬は僅か2ヶ月少々。そろそろ辛抱たまらないからストーブでも買おうかな、と思う頃には、冬はもうバングラデシュから去って行ってしまう。

  Winter Scenary4

 美しいバングラデシュの冬景色と出会いを楽しみながら、この1年6ヶ月を振り返ってみる。世界銀行、バングラデシュという「ダブル他流試合」を通じて自分を高め、世銀職員としてこの国に有意な貢献をし、その学びと成果を日本に持ち帰ろうと、理想を胸に気張って乗り込んだのが2011年の夏。以来、お約束の理想と現実の巨大なギャップを前に、暗中模索、五里夢中が続いた。組織としての世銀も、この国で発生した巨大な問題事案を前に立ち位置に悩む状況にあった。担当として気合を入れて計画してきた幾つものビック・イベントやプログラムが、不安定化する政情を前に、あっけなく無期延期の憂き目にあった。日本で活躍している同年代の友人達の姿に焦りを覚え、正直「もう日本に帰りたいな…」と思うことすらあった。

 こんな感じで、当初の期待とは裏腹に、胸を張って成果といえることは残念だけど今のところ何一つ無い。けれど、きっと全ては意味を持つんだろうと思う。まぁ明日もきっと渋滞が酷いだろう。今計画しているイベントも、またホッタールで無期延期になってしまうかもしれない。当面は毎日我が家で50匹ぐらいの蚊と蚊取りラケットで格闘しなきゃならんだろう(冬は蚊どもの天下なのだ)。

 思い通りにならない事ばかりが続いても、焦らず腐らず、毎日の出来事や出会いを楽しんでいこうと思う。好奇心を更新し続け、学びのアンテナをしっかり張っていこうと思う。困難な環境だからこそ、失敗を恐れず挑戦を続けていこうと思う。たとえ理想のペースでなかったとしても、前を向いて歩み続けてさえいれば、きっと全ては意味を持つのだから。そして、何といっても、これは、自分が選んだ道なのだから。

 という訳で、2013年も「バングラデシュ物語」を宜しくお願い致します。
  
   Winter Scenary6
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バングラデシュでの生活が織り成す物語 | コメント:(0) | トラックバック:(0) | 2013/01/06 18:35
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