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Crossover21 バングラデシュ・スタディ・トリップ 報告④ ~この街のゴミは誰の手で、どこに向かうのだろうか?(3)~

 我が家を含む、ダッカ市内の各家庭でゴミ箱に捨てられたゴミたちは、旅をする。

 まず、民間事業者であるPrimary Collection Service Providerにより地区ごとにリヤカーのようなもので回収され、ダッカ市役所が市内のあちこちに設置している鉄製のゴミ収集用コンテナに集められる(正確には、コンテナの周囲にぶちまけられる…)。また、路上をはじめとする市内のパブリック・スペースに捨てられたゴミや溝に溜まったヘドロ等については、クリーナーがかき集め、コンテナまで運ぶ手はずとなっているのは、前回までの記事で述べた。そして、市内各所からコンテナに集められたゴミがたどり着く、旅の終着駅が、ダッカ市の南東部にあるマトワイル最終ゴミ処分場だ。

 最終ゴミ処分場といっても、焼却施設等がある訳ではなく、ただただ、そこに積み上げられていく。一言で言えばゴミの山だ。かつては、オープン・スペースにひたすらゴミが積み上げられていくだけであったために、有毒ガスや汚水が周囲に流出し、深刻な環境汚染を引き起こすリスクが極めて高かったところ、現在では、それらを浄化するための煙突や浄水システムが導入され、環境に配慮したオペレーションが実施されている。また、処分場の入り口には、ゴミ収集車が通過する際に自動的に重量を計測し、ゴミ収集・運搬が日々正しく実施されているかを確認するためのシステムも導入された他、一仕事終えたゴミ収集車を洗浄する場も設けられている。このように「ただのゴミ山」を「より良いオペレーションと環境に配慮したゴミ山」へと変革するのに要した経費は、日本のODAから拠出されている。正確には、2005年に日本政府がバングラデシュ政府に対して実施した、過去に貸し付けた円借款の一部(約1,600億円)の棒引き(債務免除)部分から支出されている(つまり、バングラデシュ政府は、本来日本に返済しなければならなかった資金の一部を、マトワイルの最終処分場のアップ・グレードに活用したという訳)。

 さて、マトワイル最終処分場の入り口をくぐったCrossoverのメンバーが、最初に目を留めたのが、エメラルド・グリーンとピンクという可愛らしい色のゴミ収集車だ。車輌の横を良く見ると、日の丸とJICAのロゴが付けられている。従来のゴミ収集車が激しく老朽化し、効率的なごみ収集の妨げとなっていたことから、2009年に日本政府が、約12億円の無償資金協力(グラント)で100台のごみ収集車と、メンテナンスのための修理工場を提供したのだ。

  dhaka waste collection vheicle
 ~日本が無償資金で100台供与したごみ収集車。日々ダッカ市内を駆け回りゴミを集めては最終処分場まで運んでいる~ 

 処分場のアップ・グレードや新しいゴミ収集車の提供といった、目に見える(ハードの)支援が真に活きるには、それを使う人や組織の能力、という目に見えない部分(ソフト)が向上していかなければならない。我々Crossover Study Tripのメンバーが今フォーカスを当てている「ダッカ市廃棄物管理能力強化プロジェクト」は、ソフト面を2007年から2013年までの6年間かけて手当している日本の技術協力支援なのだ。

 具体的には、クリーン・ダッカを実現するための「ゴミの回収・運搬・廃棄」を、住民も巻き込みながら、より確実に、効率的に、そして環境面や安全面での負荷を出来るだけ減らしつつ持続的に実施するために必要な、ベンガル人自身のオペレーション力を高めてもらうべく、日本人専門家(コンサルタント)の派遣や各種セミナー実施などを実施。それらに係る資金として、総額4億5千万円が使われているという訳だ。

 話を、最終処分場に戻す。こちらが、マトワイル最終処分場の全体像を示した模型だ。

   matrile waste reclaiming land-1

 広さは約20ヘクタール(東京ドーム4個分に相当)。ゴミ山は、二つある。一つは写真手前。上の写真で紹介したゴミ収集車の背景にあるのが実際のゴミ山だ。計画的に積み上げられ、また、有毒ガスの浄化システムも設置された効果もあってか、表面は草で覆われており、臭いもしない。手前の山は、既にある程度まで積みあがったため、現在は、写真上方の灰色の部分に、新たなゴミが積み上げられている。

 そして僕らは、その新しいゴミ山と遭遇した。

 matwile waste landfill cite-2

間違ってゴミ収集車の中に入ってしまったら、きっとこんな臭いがするだろう。急いでマスクを取り出す仲間もいる。そんな臭いに惹かれてか、僕らの視界を圧倒的な量のハエが遮り、上空には、大量のカラスが舞う。その下を重機の巨大なアームがせわしなく動き、積み上げられたゴミと格闘している。そしてパワーショベルのすぐ後ろでゴミを拾い集める女性達の姿が目に映る

 女性達は、長旅を終えたゴミたちの中から、未だ使えるかもしれないものをピックアップして集め、市場で売るために、ゴミ山に入り込んでいるのだ。彼女らの頭の中に「危険」の二文字は無いのだろうか。巨大なパワーショベルは、小さな彼女らの存在を一顧だにすることなく、至近距離でその巨大なキャタピラとアームを動かしている。いつ巻き込まれ、押しつぶされてもおかしくない。自分の手が、じっとりとイヤな汗をかいているに気付く。

 突然の雷鳴とともに降り始めた雨と分厚い雲が、目の前の空間を、より一層暗く染めていく。天から降り注ぐ水は、ほどなく豪雨へと変わった。しかし、パワーショベルの腕は動き続け、女性達は、黙々とゴミを拾い続ける。

    matwile waste landfill cite 4

 ダッカ市内の各家庭から、長旅の末にこの場所にまでたどり着いたゴミたちの多くにとって、マトワイル処分場は、旅の終着駅ではなく、リサイクルという名の新しい旅に向けた始発駅でもある。巨大なゴミ山に小さな体をうずめながら働く女性達は、そんな旅のシフトをアレンジする役割を果たしながら、僅かながらの日々の糧を手にしているのだ。

 ダッカ市の担当職員も、彼女達がゴミのリサイクルに果たしている大きな役割と、晒されている危険に対する認識は強く持っている。NGO等と連携をしつつ、彼女らを組織化して、もう少し安全且つ効率的に、リサイクルの役割を担うための、パートナーシップを模索しているという。

 なお、マトワイルで目にしたのは、ウェイスト・ピッカーの女性達やカラスだけではない。ゴミ山から滲み出る危険な汚水を可能な限り浄化した上で、河川へと流していくための施設も、同じくせわしなく動いている。繰り返しになるが、これも、日本国民の血税が元手となって実現したものだ。

    matwile- waste landfill cite -5

 クリーナーによる路上清掃、彼らの居住区(コロニー)、現場の司令塔であるWard清掃事務所、そしてマトワイル最終処分処分所と、家庭ゴミがたどる道を追いかけてきたCrossoverのメンバー。学びの総決算として、ダッカ市の中央に位置する立派な市庁舎の中にある、Dhaka Waste Management Divisionに乗り込み、本プロジェクトの総指揮をするプロジェクト・マネージャーとの意見交換に向うべく、灰色の山を後にしたのだった(続く)。
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バングラデシュ人と日本人の協働が織り成す物語 | コメント:(0) | トラックバック:(0) | 2012/09/23 11:07
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