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バングラデシュが未来を切り拓くには何が必要だろうか? ~技術立国を目指して走り続ける若者たちの物語(その1)~

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 バングラデシュが未来を切り拓くのに必要なもの。それは「試行錯誤を通して得られる物作りの力」「チームで共通の目標に向かう力」、そして「フェアプレーの精神」

 こう信じて走り続ける男がいる。バングラデシュ青年海外協力隊平成21年度4次隊の大河原俊弥だ。バングラデシュ南部の町、ボリシャルの職業訓練校でコンピューター講師として活躍する大河原さんと出会ったのは昨年秋。彼が本業を超えて手掛ける「燃費競技大会(通称エコラン)」のコンセプトと、その先に描かれるビジョンに初めて触れたのもその時だった。エコランとは、「最も燃費の良い車両をつくる」ことを目標に、バングラデシュの工業大学の学生たちがチームを作って車両を作成、ガソリン1リットルで何キロ走れるかを競い合う大会だ。僕が小学生時代に毎年夢中になって見ていた、琵琶湖に向けて意匠を凝らした様々な手作り飛行機が飛び立つあの「鳥人間コンテスト」を髣髴とさせるこの競技。日本では30年以上前から行われており、最高記録はなんと3,000キロを超えるそうだ

 エコランのコンセプトをバングラデシュにも根付かせ、最終的には、エンジニアを志す全国の若い学生たち参加する「エコラン全国大会」を実現したい…こんな大きな目標に向けた第一歩は小さいが確かなものだった。

 2010年12月、現在利用が停止されているボリシャル空港の滑走路で開かれた第一回エコラン大会に参加したのは、大河原さんの赴任先であるボリシャル職業訓練校の学生がつくる2チームのみだった。参加学生数も5ヶ月の作成期間を通じて減り続け、当初の30人から最後までしっかり参加したのは5人程度。しかも本番もトラブル続きで、ようやく出来上がった2台のうち走ることが出来たのは一台のみ。しかし、その一台が一リットルのガソリンで100キロを走ったのだ。共通の目標に向かって皆で本気の試行錯誤(チャレンジ)を続け何かを成し遂げることの喜び、そして5ヶ月間の苦労が合わさって涙をする学生もいたという。

 第一回エコランから様々な反省と確かな手応えを得た大河原さんは、その後、バングラデシュ各地にある技術大学、工科大学を駆け回り、大学関係者や学生にエコランのコンセプトとその先にあるビジョンを語り続けた。第二回大会を全国規模にするために…


 2012年3月9日、週末である金曜日の朝早くから、僕は友人とともに、ダッカ郊外のガジプールにあるイスラム工科大学(Islamic University of Technology)に向かっていた。向かう先で開かれるのは今年秋に企画されている「第二回エコラン大会」に向けた「Eco-Run Demonstrative Trial Contest(試行ランを兼ねた予備戦)」だ。一体何台のエコラン・カーが出場するのだろう?しっかり走ることが出来るのだろうか?どんな形の車が登場するのだろう?
 
 大河原さんがベンガル人の学生たちと描いてきたエコランの過去、現在、そして未来に強く共感していた僕は、笑いあり、涙ありの「鳥人間コンテスト」のテレビ番組が始まるのを待っていた子供の時のように、胸の高まりを覚えていた。

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 モダンな建物と美しい緑のグランドが印象的なイスラム工科大学に到着したのは朝9:30。既に大勢の学生たちがひしめいている。人数は軽く100人を超えるようだ。キャンパスに並ぶ形も様々な「エコラン・カー」は11台。各チームに分かれてそれぞれが試行錯誤の末に創り上げた車両の整備に余念がない。

 前輪横にバングラデシュと日本の国旗を掲げるこちらのエコラン・カーは、昨年も参加したボリシャルの職業訓練校の学生チームの車両。少ないガソリンでどこまでも走っていけるよう、出来る限りの軽量化を図っている。
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 こちらは、バングラデシュ北部の都市、ラッシャヒ工科大学のチーム。安定感重視だろうか、4輪のエコランカーだ。
 
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 鮮やかなサロワール・カミューズに身を包む女子学生たちが、手を真っ黒にして最後の調整に汗をかいている。今回参加する11チームのうち、唯一の女性チーム。チッタゴン工科大学の学生達だ。

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 こちらはおそろいのポロ・シャツも作って団結力をアピールするダッカ工科大学のチーム。「Eco-Fighter!」と名付けた愛車を囲んで気勢を上げる。気合十分だ!
 
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 今回は試行ランということで、参加チーム一斉スタートの競争はせず、一台ずつキャンパスを周回し、そのスピードや走行距離、操縦性、重さ、そして作成コスト等をチェックするのが目的。今回の試行ランで得られた教訓を糧に、学生たちは今年秋に開催予定の本番に向けて、チャレンジを続けることになる。

 大河原さんは、「試行ラン」全体の運営、そして各チームへのコーチングに駆け回る。カラリと晴れ渡った空から照りつける太陽は、エコラン・カーや学生たちの影を次第に濃くし、地上の熱気を高める。作業着姿で駆け回る大河原さんの額には汗がにじむ。学生たちは、それぞれの作業やおしゃべりに夢中で、全体が全く見えていないようだ。決められた時間になっても、決められた場所に動こうとするチームは少ない。

 「おい、早く移動しろと何度も言っているだろ!」
 「そこ、ヘルメットをつけずに絶対に運転するな、と何度言ったら分かるんだ!!」

 大河原さんのベンガル語の怒声がキャンパスに響き渡る。元自衛官でもある大河原さんの一喝は迫力満点だ。ダラダラとしていた学生たちの動きも引き締まる。ようやく11台のエコラン・カーが横一直線に並び、試行ランの準備が整った。

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 最初のチームはボリシャル職業訓練校チーム。そして、彼らの試行錯誤の結晶であるエコラン・カーが、今、鋭いエンジン音をあげながらスタート地点を飛び出した!(続く)
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バングラデシュ人と日本人の協働が織り成す物語 | コメント:(0) | トラックバック:(0) | 2012/03/15 02:16
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