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開発プロジェクトの成果向上のためには何が必要だろうか?(その2)

       Social Mapping
  ~Rural Infrastructure Improvement Projectの効果検証のために、村人が描くSocial Mapping~

 開発プロジェクトの成果(Results)向上のためには何が必要か?世界中で貧困削減に取り組む政府や国際機関の政策担当者、NGO職員、そして学者等が試行錯誤を繰り返しながら頭を悩ます課題だ。そして、世銀がこの難題に対して見出した答えは、「エンド・ユーザーの声に耳を傾けること」、「プロジェクトに関わる全てのステークホルダー(利害関係者)の継続的な学習を促すこと」、そして「得られた情報と教訓を進行中のプロジェクトにフィードバックをし、臨機応変にその実施方法・体制や内容を見直していくこと」。これを点ではなく面で実現すべく、バングラデシュ初めての試みとして今年からスタートしたのが「Third Party Monitoring(第三者評価)」だ。現在世銀はバングラデシュで35のプロジェクトを実施しているが、試験的に4つのプロジェクトで第三者評価を開始した。具体的には
① 前回の記事で紹介した地方道を整備する「Rural Infrastructure Development Project」、
② バングラデシュの地方政府による社会サービス実施体制を強化する「Local Government Support Project」、
③ 2007年の大型サイクロンSidr(シドール)の被害を受けた南西部地域に対してサイクロン・シェルターの新設・修復を行う「2007 Emergency Cyclone Recovery and Restoration Project」
④ 安全な飲み水の供給体制を強化する「Water Management and Improvement Project」
の4つを先行プロジェクトとしている。

 第三者評価の効果的な実施には、バングラデシュ政府の積極的な協力、そしてエンド・ユーザーを巻き込み、前回の記事で紹介したSocial Mappingのような革新的なツールを使ってMonitoringを実施出来る実行力あるNGOとの協働体制の確立が不可欠だ。

 2月8日にダッカのルポシ・バングラ・ホテル(旧ダッカ・シェラトンホテル)で開催された第三者評価のキック・オフ・イベントでは、世銀バングラデシュ・オフィスの責任者であるCountry Director(国担当局長)、第三者評価を実施するNGOの取りまとめ役である「Manushure Jonnno Foundation」の専務理事、そして地方行政担当大臣(Minister of Local Government, Rural Development and Cooperatives)等が一同に会し、約200名の聴衆と主要メディアが集まる前で、それぞれの言葉でThrid Party Monitoringの意義を語るとともに、NGO-政府-世銀が確固とした協働体制をもってこの新たな試みを実施していくことを確認した。

     Thrid Party Monitoring Launching Event-1
 ~2月8日に開催されたThrid Party MonitoringのLaucning Event。壇上中央の女性が世銀バングラデシュの国担当局長であり我がボスのEllen Goldsteinだ~

 一般的に、政府にとっては、市民社会がプロジェクトにトヤカク口を出すのは、気乗りのする話ではない、と言うのが本音だろう。しかし、キック・オフ・イベントに参加した Syed Ashraful Islam地方行政担当大臣はその意義を以下のようにクリアに語っていた。
 
"This initiative provides an opportunity to further utilize the knowledge of local communities to improve access to and quality of service delivery. Citizens will have a greater voice in ensuring the best use of public resources and will hold local governments accountable for results.”
 (このイニシアティブは、社会サービスの質とアクセスの向上に向け、地域のコミュニティが持つ知識をより一層活用する機会を提供するものだ。公共のリソースの有効活用と地方政府の「結果」に対する説明責任を確保するために、市民はこれまで以上に大きなVOICEを持つことになる。)

 バングラデシュの主要紙である「Financial Express」紙は、世銀の国担当局長、Ellen Goldsteinの発言を引用しながら第三者評価の意義を翌日の一面で報じた。

 ”We believe that if civil society and general people can be involved with the monitoring in addition to the traditional monitoring by the government and the donor, transparency and accountability and quality of the projects will be ensured.”   
 (政府とドナーによる伝統的なモニタリングに加え、市民社会と一般市民が参画すれば、開発プロジェクトの透明性、説明責任、そして質が確保されることになる。)
   
    Third Party Monitoring Laucning Event -2
 ~会場となったルポシ・バングラ・ホテルのマーブル・ルームは200名近い聴衆が詰めかけ立ち見が出るほどの盛況ぶり。翌日の主要全紙が当イベントを大きく報じるなど第三者評価への期待と関心は高い。~

 このパイロット・イニシアティブが継続的な実施とスケールアップという成功を収める上で、政府の積極的な関与と並んでカギとなるのが、実施部隊となるNGOの能力だ。その点、今回世銀のパートナーとなっているManusher Jonnno Foundation(MJF)は頼もしい役割を果たしている。人権や政府の透明性強化の分野で活躍してきたMJFは、第三者評価の効果的な実施に必要な二つの強みを持っている。一つはバングラデシュ国内に無数に存在する草の根NGOとのネットワーク、二つは、Social Accountabilityの分野で培ってきた経験と知識だ。MJFの担当者は世銀側の担当である僕と議論をしながら第三者評価のコンセプトを詰めるとともに、具体的な実施スケジュールを策定、そして上記4つのプロジェクトに対して実際に草の根でモニタリングを実施するのに最も適当と思われるNGOを選定する。また、実施部隊となる草の根のNGOの担当者をダッカに集め、第三者評価の趣旨や目的の共有や、Social Mappingや次回の記事で紹介するCitizen Report Card、あるいはバングラデシュで導入されたばかりのRight to Inforamation Act(情報公開法)等のツールに関する研修も行う。研修で必要となる教材や知識は、世界各地で実施されている第三者評価の事例を集積している世銀のWorld Bank Insituteが提供する。

    Thrid Party Monitoring Training Program
 ~キック・オフ・イベントに続いてダッカのBRAC大学で実施されたNGO向けの二日間の研修。コンセプトのプレゼンテーションに続く、少人数のワークショップでは、実際のケースを用いて実践的、双方向の議論が展開された。~
 
 今、バングラデシュでは、このようにして政府、NGO、世界銀行、そしてコミュニティのエンドユーザーというマルチ・ステークホルダーが協働しながら開発プロジェクトの効果を高めるイニシアティブが始まっている。次回は、僕がMJFや草の根NPOのカウンターパートと共に足を運んだ第三者評価の実施現場からの実況中継を通じて、Citizen Report CardやRight to Information Act等のツールが現場でどのように活用されているかを紹介していきたい。(続く)
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バングラデシュと世銀の協働が織り成す物語 | コメント:(2) | トラックバック:(0) | 2012/03/02 01:26
コメント:
はじめまして。関西学院大学在学中の市野と申します。 今池田さんの著者読ませて頂いている中で、どうしても分からない所があり、どうにか質問できないかとSNSを駆使して探させて頂いていたらツイッターをしていらっしゃる中のブログを発見し質問できないかという次第です。
P235のマイクロファイナンスの利益追求の在り方についてなんですが、業務を継続するにあたって利益を追求しなければ、目的達成・顧客の期待に応える事ができない。しかし利益自体は貧困層から来ていると仮定したらトレードオフになると著者に書いてありましたが、これはどういう意味でトレードオフになるんですか? 知識不足で申し訳ないのですが、宜しければお願い致します。
No title
私は、羽島で募金活動をしています。
小人数ですが、寄付金が
できるようにしています、てさぐりで、まだきちんと
できないのが、現実です。
アドバイスなどが、あれば、メールください。

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