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新年に当たって

 元旦にダッカに帰った。ダッカに「行く」という表現よりも「帰る」という表現がシックリくる自分がいる。戻った街はまるでいつもと変わらぬ喧騒と混沌。マーケットは人々の生命力と会話に満ちてる。往来は無秩序なクラクションが支配する。そう、ここでは元旦は祝日ではないのだ。それがたとえ日曜日であっても。むしろ日曜日は忙しい仕事初めの日。政府機関や企業も当たり前のように朝から営業し、人々は込み合うバスに飛び乗って、それぞれの持ち場へと向かい、勤めを終えて家路を急ぐ。

    元旦のダッカ


 何もかもが秩序だった、静かで小奇麗な日本から、バングラデシュに戻って来たのだ。

 振り返れば、2011年8月1日から始まったダッカでのこれまでの日々は「微温湯に独り浸かりながら、徐々にメガネが曇っていくような」状態だった。
  
 バングラデシュという国、世銀という組織、その両方が自分にとってはアウエイであるからだろうか、与えられた仕事が思うように進まない。少なくとも自分が東京で取り組んでいた仕事と比べれば、とても小さい仕事に見えるのに。一方で、ありとあらゆる困難に満ちたダッカで、恐ろしく恵まれた微温湯の生活環境でヌクヌクとしている自分が居る。自分が取り組むべき日々の小さな仕事と、それすら上手く回すことが出来ない自分。そして豪奢な家とオフィス、心に掲げる大きな目標。これらの間のギャップに苦しんだ。そして、募る孤独感。自分が追求したい長期のビジョンはなんだったのか、以前は見えていたと思っていた事柄すら曇って見えなくなる。従い、ブログの筆も進まなくなる。

 日本で過ごした時間と出会いは、そして買い込んだ書籍は、そんな冴えない内面に、すっと気持ちの良い筋道を通してくれ、自分を原点へと戻してくれた。「自分が人生と言う物語の主人公となる主体的な生き方を追求しよう」という思いを新たにすることができた。

 今年一年、そんな生き方を実践するために、

・目前の課題や人と真摯に向き合おう。やると決まったこと、やると公言したことを確実に真摯に実現しよう。小さな成功体験の積み重ねは心の霧を少しずつ晴らしてくれ、自分が取り組みたい大きな課題に自分を近づけてくれるだろう。
・如何なる課題でも、自分が、その責任者として、成果物を自分の名前で他者に示すとの気概を持って事に当たろう。成功の喜びをより深く享受し、失敗の教訓をしっかりと糧と出来るように。
・壁に直面した際、不出来の際に、他者や環境のせいにするのは止めよう。これで、自分自身を問題解決の主体と位置付けられる。環境や他者に感謝できる。

 こんな姿勢を貫けば、自分は、世界銀行、バングラデシュに自分が存在した証を残すことができるだろう。それがたとえ小さなものだったとしても、確かな証を。その証を日々、少しずつ形に残していこう。出会う人々や風景が紡ぐ物語とともに。

 そんなこんなで、2012年の始まりとともに、「バングラデシュ物語」という新たなタイトルの下で、ブログを再開する。

   朝霧のブリコンガ河
      ~ 朝霧に包まれながら、緩やかに流れるブリコンガ川 ~
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はじめに | コメント:(0) | トラックバック:(0) | 2012/01/02 23:27

新しい旅の始まり

 サウナのような湿気を含んだ生ぬるい空気が、ダッカの空港に降り立った僕を包む。4ヶ月前、世銀のダッカ事務所のディレクター(バングラデシュ担当局長)との面接を受けるべくここを訪れた際に歓迎してくれた大勢の蚊どもは姿を消している。厳しすぎる暑さは蚊が飛び回る力をも奪うと言う。

いったい何が自分をここに連れてきたのだろうか。

 入国審査を待つ長蛇の列を一瞥だにせず、入国者の情報を人差し指一本で緩慢にタイピングする審査官をぼんやりと見つめながら考える。財布に入ってる一枚の紅い10タカ紙幣。2007年の夏、インドのハイデラバードに拠点を置くマイクロファイナンス機関でインターンをした際にゲストハウスで寝食をともにしたバングラデシュの学生が「記念に」とくれたものだ。まさかこの皺くちゃの紙幣が、僕をここにつれて来たというのか…

 “Ask what you can do for your country”との「ケネディスクールからのメッセージ」を胸に、新緑のハーバード・ヤードで世界中に散っていく同級生たちと地球儀を空に放り投げた2008年6月のCommencment(旅立ちか)ら3年。

  ハーバード・ケネディスクール卒業式

 それ以来、100年に一度の世界金融危機、食料・一次産品価格の高騰と飢餓人口の増加、口蹄疫、ブタインフルエンザなどの感染症の伝播、ギリシャに端を発する欧州の債務危機とユーロの構造的欠陥の露呈、わが国戦後初めての政権交代と新しいガバナンス(統治)のあり方を模索する試行錯誤と七転八倒、そして3.11・・・世界、日本はあまりにも大きく変わった。

 地球儀を放り投げるという無礼を働いたばかりか、「世界を変えてみたくなる留学」なんて大風呂敷を自著のサブタイトルにしたバチがあったったのだろうか。この3年間、仕事において国内・国際経済・金融・政治の荒波に僕はダイレクトに揉まれ翻弄され続けた。しかし、溺れかかりながらも、意志を持って挑み、これまでの人生の3倍速で走り、そして新しい挑戦を続けてきたつもりだ。その延長線上に、バングラデシュに入国するための、この緩慢な列があるのだ。

 もちろんそんなのは僕の思い過ごしで、財布の中の古びた10タカ紙幣のイタズラ、つまりただの偶然かもしれないけれど。

 待ちに待った入国審査官との対面。費やされた時間と忍耐を想像だにしないのだろうか、僕のパスポートを一枚一枚繰りながら、「Oh You are Japanese! ニホンジン、コンニチハ」と満面の笑みで応じてくる。思わず笑顔で返してしまう自分が少し悔しい。

 どうでもいい。とにかく僕はバングラデシュという国に来た。
 
 可能性と挑戦に満ちた国、バングラデシュで、また、様々なセクターの専門家がひしめく世銀というプロフェッショナル集団の中で、僕はどんな変化をもたらすことができるだろうか。どんな変化が僕にもたらされるだろうか。そして、僕は何を日本に持ち帰ることが出来るだろうか。全ては、白地のキャンパスに絵を描くのような作業だ。前例、前任者、引継ぎ書も、なにも無い、新しい旅の始まり。

 そんな旅の記録が、このブログにつづられていく。右往左往し、転倒し、思うように歩んでいけない、そんな記録になるかもしれない。それでも、その確かな足跡を残していきたい。それが将来の自分へをリードしていくメッセージとなることを僕は知っているから。  


  >メグナ川に溶ける夕日
はじめに | コメント:(0) | トラックバック:(0) | 2011/08/01 00:51
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